
好きな色は、緑。
理由は自分でも分からない。
生まれた時から、体にそう刻まれていた。
好きなものとか、好きな色に接しているのは、好きな人に接しているのと似ている。だから心の中心というか、核心部をキュッと掴まれている感じだ。
白っぽく見える石も、緑の色を包み込んでいる。
とても素敵で高貴な感じがする。
この石を手にしたのは、30年以上も前のこと。
まだ小さかったふたりの子を連れて、新潟のヒスイ海岸に遊びに行った。時期は多分、8月の終わり。
その年は、病気で夏に子供をどこへも連れて行けず、夏も終わろうとする頃、やっと連れて行った海。
家族4人、人影のほとんどない海で遊び、翡翠を探した。きれいな石は、どれもこれも翡翠のように思えて、ビニール袋に入れた。
すると、近くで私達とおなじように、翡翠を探していたおじさんが、私達が拾った石を見て、「それは、全部翡翠ではなく、油石と言う石だ。亅と言う。
そして、自分が拾った石を私達に見せてくれて、「これは、ぼくに。これはそっちのぼくに。これは奥さんに。」と言って、自分が拾った石をいっぱい私達にくれた。
子供たち、そして私達をときめかしてくれた、なにもなかったこの夏の一番の出来ごと。
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